<基調講演>

 「CAEによる爆轟現象の解明と爆薬の有効利用について」              
                                                                             ・・・・・・熊本大学 伊東先生

概要:

爆薬と聞けば、戦争&破壊 というイメージが定着しておりますが、平和利用や人命を救助するために広く用いられています。またその発生する圧力は数10Gpaと油圧プレスでは比較にならない大きさの圧力が容易に達成されます。この大きな圧力を利用してもちろん破壊するわけですが、それを利用して新しい物質を創造する技術があります。卑近な例としては研磨剤によく使われるミクロンサイズの人工ダイアモンド粉末もこの技術によるものです。

  ところで爆薬の爆轟現象は極めて高速で、また実験場所にも法的に制限を受けることから、我々は数値計算によって、多くの爆薬の爆轟現象をシミュレーションしてきました。そしてその結果を基に新しい技術の展開、製品の試作を行っています。

 幸い熊本大学衝撃・極限環境研究センターでは国内の大学として唯一大量の爆薬を用いた実験が可能であり、数値計算に必要なパラメータの取得や計算結果と実験結果の詳細な比較検討ができます。

今回それら
の研究の中から、金属を爆薬で高速衝突させ、接合する技術、特に金属とセラミックスの接合を述べます。また金属の爆発成形法 及びそれを利用して作成したインテリアディスプレイや各種機械の成形部品製作例を示します。さらに木材を衝撃負荷処理することによって、各種セラミックス粉末や抗菌粉末を浸透させ燃えない木材や、抗菌木材また腐りにくい木材等の付加価値の高い木材の開発についても講演します。

また環境問題として、
Co2固定化についての衝撃技術の利用の可能性についてもご講演されます。