会 長  田 中  豊 喜
皆様、新年明けましておめでとうございます。
新世紀を迎えた2001年は、米同時多発テロ、世界同時不況、日本では、小泉内閣の構造改革もやや失速、過去最大の失業率などと、厳しい幕開けで、終わりました。
2002年は馬年、天高く馬肥ゆる秋のような爽やかな年になって欲しいと思います
日本の製造業は、バブル崩壊以来、極めて厳しい環境にありますが、GDP(国内総生産)全体に占める割合は最大(24%、312兆円)で、とかく話題の多い金融・証券(5%、25兆円)、行政(9%、45兆円)に比し、圧倒的にシェアが高く、ドイツ(22%)、アメリカ(17%)に比べても遜色がありません。 従って、まだまだ日本の経済は、製造業が支えているといっても過言ではありません。
しかし、安心は絶対にできません。 製造業は、地球規模の大競争時代に突入し、日本人の創造性とコア・コンピータンス(強み)を戦略的に発揮しないと、生き残れない時代となっているからです。
日本には,「花鳥風月をめでる」というように、自然に親しみ、自然に調和する文化的背景があり、人と自然、人と社会に立脚した「モノづくり」ができる強みがあります。
大脳生理学によると、自然との触れ合いによる感動が、大脳辺縁系や脳幹を刺激して、創造性にプラスに作用するそうです。
ノーベル賞の野依教授は、「本筋を極めた上で、広い視野を備えた人(リーダー);T字型人間」が必要であると力説されています。 コツコツタイプの専門職(I字型人間)は、勿論必要ですが、文化的背景を持ち、地球の将来と自分の技術を関連させるビジョンを持ったT字型技術者が、今、最も必要とされています。
関西CAE懇話会は、T字型技術者の育成に、相応しい場になることを目指しております。
そのために、産学官、組織、肩書き、年齢などの垣根を外し(Boundaryless, Borderless)、自由闊達な交流(Communication)の中から、良きアイディアと視野の広い方向性が、得られたら幸いに思っております。
最も新鮮で重要な情報は、メディア(活字など)にあるのでは無く、人間の頭脳に存在しているので、Face to Face、Heart to Heart の交流が、非常に大切と考えます。
また、電子媒体を利用した、幅広い意見交換ができれば、とも思っております。

今年は、関西CAE懇話会をNPO(特定非営利活動法人)化する予定です。
日本のCAE活動を側面から支援し、日本の「モノづくり」に対し、新しい価値を創造できるような環境整備に、NPOが貢献するよう、努力していきたいと存じますので、今後も一層のご支援とご協力をお願い申しあげます。
最後に、本年も、皆様のご健勝とご活躍を、謹んでお祈り申しあげます。
幹 事  三 木  孝 夫(菱友システム技術 

明けましておめでとうございます。
関西CAE懇話会も今年で3年目に入ります。 
「3」と言えば,往年の「長嶋茂雄」選手の背番号でもありますが,石の上にも3年,3度目の正直,2度あることは3度ある,3人寄れば文殊の知恵,3本の矢・・・,桃栗3年・・・,3日坊主,・・・・・等々,良いにつけ悪いにつけ,節目の数字としてよく用いられてきました。
本懇話会も,これまでは立ち上げの時期であり,とにもかくにもまず関係の皆さんに知って頂くこと,参加者を増やすことに専念し,2年間ともかくも走り続けてきました。
それが概ね達成された今,これからは地に足をつけ,質の向上を目指していきたい,いくべきと考えます。
昨年11/22(金)の第7回の懇話会では,講演や講習会などのイベントの数を多くし過ぎた為,同時並行的に進行しなければならなくなり,参加したいセッションが時間的に重なったり,選択に 困ったり,個々の時間が長くとれず討議が充分には出来なかったり,或いは,内容的にベンダーさんの宣伝の場に近くなったり,等々,反省すべき点や,次回以降 改善すべき点も多々あったように思います。また,参加者が多くなると,身勝手な人や礼儀をわきまえない人も混じってきます。
11/22(金),ある会場での出来事ですが,機材の調子が悪く(これも反省点ですが),若干進行が遅れた場面がありましたが,その際,あろうことか講演者の方に向かって指を差しながら,「次の講演(次は基調講演でしたが)の時間だから,この講演を打ち切りなさい!」という類の言葉を浴びせた人がいました。全く失礼千万な暴挙です。そんな礼儀知らずの人には二度とこの懇話会には参加して欲しくありません。
この懇話会は元々手作りの会合です。失敗や拙い部分もあります。
しかしながら,手作りだからこそ出せる味,良い面もあると思います。それが我々幹事会の狙いでもあります。それを理解できない人,いや理解しようとしないような人は,次回以降この会にはどうか参加しないで下さい。
今年は,この懇話会をNPO化する予定です。前に向かってひたすら走り続けることも,ある面では必要でしょうが,今年はちょっと立ち止まって,この懇話会の主旨や目的を再確認するとともに,これからの進め方や体制,活動項目等を,じっくり見直す1年にしたいと思います。
言い替えれば,量より質を目指す年にしたい訳です。
皆さんからも是非建設的な意見や要望をどしどし出して頂き,魅力ある懇話会にしていこうではありませんか!
ご協力をよろしくお願いします。
今年のキーワードは,「じっくり」,「楽しく」です!

幹 事 仲 町  英 治(大阪工業大学)
− 新しい技術の時代へ −
 月日の経つのは速いもので、研究を始めて30年目を迎えようとしています。1970年代から2000年代への技術革新の変遷の中で感じることは、コンピュータの進歩の中での人間・技術者の役割というCAE懇話会固有の命題です。昨年の年頭挨拶では“人間・技術者ルネサンス”の時代である。技術者が自信を持って仕事をこなすために社会で認められる共通意識が何かを今再確認することが求められていると感じています。
現在、日本国内の経済・産業の停滞は深刻で、1980年後半から1990年初頭のような世界を先導する技術に胸を張る技術者が少ない状態になっています。このような時に、敢えて新たな発想とそれを実現するための底力のある技術者集団をこの関西CAE懇話会が輩出できるならば非常に面白いことだと考えます。
 さて、私は時代の変化を認めつつも技術を支える心は変わらないと信じています。技術はつねに”人を幸せにする夢”を実現することを目指してきました。コンピュータ、ロボット、輸送機械、人工臓器の開発など、技術屋はさまざまな分野の技術を融合して数々の夢をものにしてきました。これまで、がむしゃらに効率を求めた技術開発から、人が成長とともに思いやりを学んでいくように、技術もいま、やさしさを身につけなければならない時代を迎えています。
関西CAE懇話会が3年目を迎える年に,新たな気持ちで研究に取組みたいと思います。
 なお、私がセンター長として研究開発に従事している文部科学省研究開発拠点バイオベンチャー研究についてはhttp://www.oit.ac.jp/med/bio-mem/を,私の研究室についてはhttp://www.oit.ac.jp/med/nakamati/lab/ を訪問ください。プロジェクト“Bio-MEM用基盤材料創成技術の開発”の概要を以下に紹介いたします。 
Bio-MEM (Biomimetic-Medical Electronic Machine)は、生体の持つ卓越したセンシングおよびアクチュエータ機能を模倣した医用電子制御機械と定義される。
将来予測される高齢化社会において、電子制御技術および生体適合材料創成技術に基づく ``人間にやさしい医用機械'' の開発は工学の主要課題となるであろう。本研究プロジェクトでは,生体内に埋込まれ,あるいは生体内を自由に移動することが可能なマイクロロボット製作を最終目標として、そのロボットに利用可能なセンサおよびアクチュエータ機能を持つ ``材料'' の創成を試みる。
具体的には、老齢化とともに低下する眼、耳、鼻、口の視覚・聴覚・臭覚・味覚、および筋力発生機能を補強するために利用できる筋・神経システムを模倣した埋め込み型各種人工細胞、また、心臓・血管などの循環器系内を移動して疾患部位を探索し治療を行うマイクロロボットの構成部位となる生体適合性の保証された材料が考えられる。さらに、センサ部位とアクチュエータ部位を接続する生体適合性の高い信号伝達材料もその範疇にある。
幹 事 森 脇  信 康(松下電器産業)
IT革命と言われて久しいですが、目指すところは「距離」「時間」「コミュニケーション」のギャップを埋めることだと思います。そして、各プロジェクトが一人の意思で動いているように、また、分業化が進んだ製造業が一体となり、外から見れば、あたかも一つの意思を持つようになることが究極の姿なのでしょう。
一口でITツールといってもCAE/CAD/CAM/PDMの様々な分野で多種多様なツールが氾濫して来ていますが、「究極のITツールは何でしょう」と問われたらどう答えるでしょうか。
私の考える「究極のITツール」は「紙と鉛筆」だと思います。
何も描かれていない真白の紙面に、描く人間の意志を持った形の原案が出来上がっていく、まさに無から有を生み出す原点であり、抽象から具現化のという設計の原点を何時でも何処でも実践できるツールは「紙と鉛筆」しかないと思います。
では、CAEツールの位置付けはどうなるのか。
設計を「形状・交差・材料・強度などの膨大な情報から意思決定をすること」と定義するならば、CAEは「論理的・体系的な意思決定手段」であると思います。
ですから、「紙と鉛筆」で或るモノを創造しようとした時に、肩越しにやさしく声を掛けてくれるような存在として究極のCAEが位置付けられると思います。
やさしく声を掛けてくれるようなCAEに成長するまでは、喧喧諤諤の猛者の諸先輩の方達の間に挟まれながら、家電商品の設計プロセスをCAEを一手段として改革していく立場から、今年もCAEをまずは身近なツールとして広めるためにお役に立てればと思っています。
幹 事  高 田    久(ミノルタ)
昨年の夏より関西CAE懇話会の幹事に加えていただいてます。振り返ってみますと、昨年2001年はアメリカの同時多発テロを筆頭に、激動の年でした。2002年も我々を取りまく環境/社会はよりいっそう厳しくなると予想されます。
しかし、こういう時こそ飛躍するチャンスとも考えられます。今さら私が言うまでもないですが、モノ作りにおいてCAEは重要な役割を担ってます。CAEを使いこなすことにより他社と差別化できる商品開発ができると信じています。
関西CAE懇話会を通じて、一緒にCAEのスキルを上げて行きましょう。
余談になりますが、皆さんご存じのように関西CAE懇話会の幹事には立派なヒゲを蓄えた方が5名もおられます。
できれば、「ヒゲとCAE」の相関関係も明らかにしたいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。
幹 事  安 田  隆 俊(シャープ)
21世紀最初の一年も波乱のうちに過ぎ去り、我々メーカーもモノづくりだけでなく環境、経済を見据えた大きな視点での存在意義を求められております。
そのような状況の中で、シミュレーションの範疇も更なる広がりを期待されており、モノづくりの技術力を支える機構・電気・ソフト等のCAEだけでなく、グローバル社会での競争力と責務を果たす為のエネルギー・環境問題から企業間シミュレーションまで夢の限界はありません。
しかし、エンジニアとしての原点を疎かにしては夢を支えきれません。やはり一人ひとりの技術力の高さが世界に勝つキーとなります。
関西CAE懇話会には、足元から未来まで語り合える仲間が沢山集います。私もその末席で刺激を受けながら、何らかのフィードバックを皆様にお返しできるよう頑張って参りますので、本年もどうか宜しくお願い致します。
事 務 局  小 寺  秀 俊(京都大学)
関西CAE懇話会のみなさん
あけましておめでとうございます。今年は,懇話会をはじめて3年目になります。昨年から準備してきましたNPO化もしないといけませんし,また,懇話会の内容も充実させなければなりません。
解析塾も4年目を迎え,今年は,10ヶ月の塾の内容の充実とさらに数日間や数回程度の集中的な講習会も企画しております。ただ,これら解析塾の企画や懇話会の企画は,参加される方々のニーズが一番重要であり,懇話会の幹事は懇話会メンバーの方々の意見などの収集と調整を行うものであります。
すなわち,懇話会を作っていくのは,皆さんですので,是非,メーリングリストやBBS(そのうちできると思います)にご意見・ご要望をお出しください。
今年も3回の懇話会を実施いたしますが,京都では8月の一番暑い時期を予定しております。おいしいビールを飲みながら,楽しくやれればと思います。
今年もなにとぞ,よろしくお願い申し上げます。
事 務 局  辰 岡  正 樹(日本アイ・ビー・エム)
関西CAE懇話会も3年目を迎えようとしています。創設以来2年足らずですが、合計7回の開催を経て、CAEに関心のある、熱意を持った人たちが、企業の壁、官民の壁、業種の壁を越えて集まる場を作るという目標は達成できたのではないかと思います。
今年は、“シー・エィ・イー懇話会“としてNPO化を実現する予定です。関西を拠点とすることには変わりはありませんが、地域を広め、より多くのCAEに対して熱意をもつ方が参加できるように進めてゆきます。
また、より多くの方の参加という点では、若手の方が従来以上に意見を出して、積極的に”参加“できるような仕組み、企画を立ててゆきます。

これらの考えは、いままでの延長線上にあります。新しいチャレンジとして考えてゆきたいのは、トップマネジメントに対するCAEの認識です。
昨年の懇話会で出てきましたCAE担当者の最大の悩みは、上司のCAEに対する認識の低さでした。以前に比べればCAEに対する理解を持ったマネジメントの数は増えていますが、それでも、CAE担当者から見ると、不十分という状況です。

トップマネジメントに対してCAEをより認識してもらえるような企画を、関西CAE懇話会として、ぜひ立案し、実現してゆきたいと考えています。
今年もみなさんからのご要望をできるだけ反映して、CAEの普及が企業の活力となるよう頑張ってゆきます。
昨年以上のご支援を宜しくお願い申し上げます。

     2001年度